僕等はきっと、満たされない。


「晴夏に
もうひとつ、お土産がある」



「なに?」



宙くんが

私に綺麗な淡い色の封筒を差し出した



「晴夏の好きな人の旅館訪ねてみたくて
帰りに寄ったら
たまたま若女将と話せたんだ」



若女将…

あの人の奥さん



少し嫌な気持ちになった



「ごめん、勝手に…

それで、この封筒預かって来た

晴夏、開けてみて…」



宙くんから

封筒を受け取るのがこわかった



「…なに?」



「晴夏…たぶん、泣くと思う…」



宙くんの手から封筒を受け取って

そっと開けた



封筒の中には便箋と写真が1枚入ってた



私とあの人の写真



目頭が熱くなって

写真の中のふたりがぼやけた



私とあの人が

まだ付き合ってた頃の写真



何気ない写真だった

何気ない日常が幸せだった



「晴夏、手紙読んでみて…」



「ん…」



便箋を開いたら見覚えのある文字が見えた



あの人の字



読む前に

胸が熱くなった