「……私、茜くんと劇をしたいって言ったのには理由があるの」

花恋ちゃんの涙が落ち着いてきた頃、花恋ちゃんは僕からゆっくりと離れながら口を開く。

「……実はね、私……茜くんのことが好き、なんだ……だから、茜くんと、劇がしたくて……」

「え……?」

「私、私……!誰にも優しい茜くんが好きなの!!」

「……でも、僕は……弱いよ。花恋ちゃんを助けたくても、助けられなかったし……」

「そんなことない!さっきの茜くん、かっこよかった!!弱くてもいい。茜くんだから好きになったの!だから、だから……私と、付き合ってください!!」

「……じ、実は……ぼ、僕も、ずっと……花恋ちゃんが好きだったんだ……」

僕が本心を花恋ちゃんに伝えると、花恋ちゃんは嬉しそうに笑った。

「よろしくね、茜……」

「よ、呼び捨て……!?」

突然の花恋ちゃんからの呼び捨てに、僕は驚く。

「……えっと、呼び捨て……嫌だった……?」

花恋ちゃんは、そう言って不安そうに僕を見つめた。

「い、嫌じゃない……ただ、慣れないだけで……」

「……そっか。私、これから茜って呼ぶから……私の事、花恋って呼んで」

「え……えっと……か、花恋……」

緊張しながら呼び捨てで呼んでみる。