しれないと言ったのはこの先久遠はウルカ王国にあっけなく囚われてしまうからである。
 
 リゼ12歳のおり、元服の催事を行う。催事は王都北東の泉に銀の食器を使いその泉を汲んで飲み干すといった簡単なものだったが事件は道中に起こった。

 「行きたくないです」
 リゼは迎えにきた神官に向かって駄々っ子のように拒否の意を表明する。それも王宮をでて城門がまじかに迫った時である。突然の反抗に戸惑いの表情を浮かべる神官は嘆息する。
「……リゼ様、これは誰もが行うことなのです、それは王族に限らず12歳を迎えた国民全てが成人を迎え、この先の健康と繫栄を祈願しにいくのです」
 深々と頭を下げ成人の儀だと伝える神官にその横で呆れた顔の神官がリゼの前で並んで説得を試みる。

 それに対してリゼも嘆息し、「そんな事はわかっています。私が言いたいのは成人したくないということです」りぜは二人の神官に自分の意を表明する。成人なんてしたくない。