転生王女と侍の国づくり「仮題」

 久遠はリゼの言っている事に対して半分も理解が出来ていなかった。異世界と言う言葉も初めて聞く。久遠は渋面を浮かべるしかなかった。
 リゼもまたどう説明すればいいのわからない。田中理世の記憶があるとしても、田中理世が生きていたのは令和である。久遠が言う時代とは1000年近い開きがある。リゼはとんでもないジェネレーションギャップを前に苦笑いを浮かべた。
「して、俺はどうしたらいいのだろうか?」
途方にくれる久遠。
「そうね、あなたをこのまま、王都に入れるのは難しいと思うわ。誰も殺していないとはいえ、兵士に反抗したのだから、それなりの罰はあるだろうし、私の身分をもってしても無罪放免は難しいと思う。それでも私を信じてくれるなら、ここは大人しく捕まってくれないかしら?」
 久遠は少し思案して、「わかった」と言った。
リゼは兵士に連れていかれるよりも自分で捕縛しようと考えた。兵士に連れていかれれば王女でもそう簡単には牢屋から出すことはできない。そう思った。

 軍務を預かるのは軍務大臣であり、軍務大臣は大貴族である。いくら王族といえども法を無視することはできないのである。