世にいう鵯越を行おうとして久遠が超えたのは次元の狭間であった。
ウルカ王国南部未開地からウルカ王国の王都までの道のりは久遠にとって楽と呼べるものではなかった。道中に至っては、合戦よりも死に目に合う始末であった。火を吐くトカゲであったり、小鬼であったりあったりといった魔物に襲われながらたどり着いた王都であった。
久遠は自分が死んで地獄にでも落ちたんじゃないかとさえ思っていた。挙句の果てに馬には逃げれ苛立ちを隠せないくらいに憤りをこの世界に感じていた。そんな折に見つけたお城のような建物を見つけると、助かったと安堵したのも束の間で、城門前で兵士に入場を拒絶されたのであった。
久遠が城門をくぐろうとすると兵士は通行料を要求するも、久遠には通じない。ウルカ王国と日本ではそもそも言語が違うのだった。久遠は穏便に通してくれと言っているだけだが兵士は聞いたこともない言語を話す異人をすんなりと通す訳にも行かず、久遠を長尺の棒で城門の外に追い出すのであった。そこから押し問答が始まり、それに気づいた民衆が野次馬のように集まりだしたのである。



