「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ‼」


「顔,赤くなってるよ,君。」


うっ。そんなこと自分でもわかってるよぉ~。


「先輩のバカ///。」


「まぁまぁ。そう怒らないでよ。それと,僕の名前は裕だから,これから裕って呼
 んでね。」


えっ。あって間もない人を名前呼びするの?


それとも先輩の中ではそんなに変なことじゃないのかな?


「ほら,早く。静ちゃん。」


って,


「何で先輩が私の名前知ってるんですか!」


「静ちゃんが知らないなら教えな~い。


 それから,先輩じゃなくて裕。ほら,呼んでみ?」


先輩が強制するから,仕方なく呼んでみたら,


「うっ。ゆ,裕,先輩。」


なにこれ,すっごい恥ずかしいんだけど。


「うーん,どうせなら先輩も取ってほしいな~。」


しかもさらに無茶ぶり。

それ,無理な要求ですよ,先輩!


「む,無理です。


 大体,あって間もない人の名前を呼び捨てとか,ふつう無理ですよ!」


そういうと先輩は笑って,


「あって間もないか。……そうじゃないとしたらどうする?


 それに僕は静って呼べるけど。」

意味深なことを言ってきた。


んなっ,そんなさらっと人の名前を!


っじゃなくて,


「あって間もなくないってどういうことですか?」


そう,さっきから先輩はなんか私と前にもあったことのあるって見たいな言い方をしてる。


あったことあるっけ?


まったく思い出せない。そもそもこんな先輩がいたことすら知らなかったのに。


「静が思い出せないなら教えない。頑張って思い出してね?


 ほら,裕って。」


また頭撫でられた!

先輩って女の人の扱いに慣れてるのかな?

はっ!もしかしていっぱい遊んだか……


「それはないからね。」


うぐっ。また読まれた。


って先輩ちょっと怒ってる?


「先輩怒ってますか?」


「いや,怒ってないよ。

 ちょっとしずちゃんに勘違いされたり,全く覚えてくれてなかったりしてるから
 って,怒るほど僕は子供じゃないしね。」


や,怒ってんじゃん。


「すみません。でも,ほんとに思い出せないんですよ。」



「そっか。それはおいおいまた思い出してくれるといいけど。


 ……それよりも裕って呼んでよ。」


先輩忘れてなかったか。


「ゆ,裕…………(先輩)」



小声で先輩ってつけたのは許してほしい。


「先輩つけずにもう一回。」


にっこり笑った先輩がそう言う。


なんか怖い。



「ゆ,裕。」


(先輩)



今度は心の中で先輩を付けた。