(はぁ。私も帰ろ。帰って勉強しよ。まーちゃんを驚かせてやるんだから!)

そう思って私はカバンを取って人の少なくなった教室を出た。


帰り道

勉強やだなー。猫ちゃんと遊びたいなー,なんて。またまーちゃんに怒られるかも。


「って思っていたらほんとに猫がいた‼」


思わず声に出しちゃったよ。


っていうかあの子ケガしてるじゃん。なんでみんな放置してるの?


痛そう…。はっ。応急手当をしてあげないと‼


「ハンカチハンカチ。あ,消毒液もいる。って。そんなものもってないんですけど!どうしよ。」


って考え…………声に出してたら急に後ろから人の声がした。


「何してるの?」


「おぅわぁぁ!?」


び,びっくりした。


「だ,誰ですか?」


「んー,通りすがりのただの人。」


は?


「通りすがりのただの人がどうされたんですか?」

「プっ。そんな警戒しなくても何にもしないよ。ただ,猫がケガしてるの見て包帯とか買ってきたら君がいただけ。」


わ,しっかり見るとこの人イケメンだな。

って何考えてんのよ,私は!


「もしかして……何かされると期待した?」


「っなにいってるんですか!!そんなわけないじゃないですか。」


「ジョーダンジョーダン。顔真っ赤にして…。かわいーね?」


なっ。顔がいいからってこの人…。しかも初対面の人に向かってため口だし。


「だって,君,宮川第一高校1年でしょ。そのネクタイの色は。」


あ,本当だ。この人の来てる制服うちの高校のだ。しかも2年生だ!


「あ,すいませ……ってなんで今!」

「あぁ,心の中で思ったはずのことを僕がわかったかって?」

「なっ。また,何で。」


「だって君わかりやすいんだもん」


だもんって…。しかも説明になってない!

「猫,いいの?」


「あっ!忘れてた‼」
すっかり先輩と話して忘れてたよ。ごめんね猫ちゃん。


「やっぱり。」

そういって先輩は笑った。

(笑ったらイケメンなのに。)