ひびき

早く時間にならないかなー。

私は窓の外を見つめながら、一人そわそわしていた。

亜由美さんはさっきの私の態度に、ちょっぴりすねてしまったようで、ふらふらとまたどこかに行ってしまった。

私は髪型が崩れてないか、とか、ベットのシーツがよれてないか、とか、細かい事にひたすら気を配っていた。

その時、

「あー、響子ちゃん?」

顔をあげると、それなりに顔なじみの看護婦さんが立っていた。

「お見舞いがいらっしゃってるんだけど、その、お母さんじゃなくて、女の子2人、お友達だって・・・」

明らかに戸惑っている。

そりゃそうだ。

こんな所までお見舞いに来てくれる友達なんて、私にはいない。

ただ、気になる・・・。

「通してあげる?」

看護婦さんの言葉に、私は頷いた。

まだ彼が来るまで時間があるし、わざわざ来てもらって帰すのも悪い。

話しだって、盛り上がるはずはない。

何故なら

私の記憶に、友達は刻まれていないのだから。