私はすぅと息を吸い込んだ。

夏の生温い風が私の肺を満たしていく。

平和だなぁ。

ただただ空を流れている雲を見つめながら思う。

もうすぐお昼。

彼が

崎村くんが来てくれる。

そこで、ハッとある事に気付く。

お手紙の返事書いてないじゃん!!

慌てて便せんを探してみるが、出てくるのは端が折れた紙切れや、ただ真っ白く、まったく女々しくないものばかり。

なんかかわいいのなかったかな・・・

しかしいくらあさっても、私の想像するようなかわいい便せんは無かった。

仕方ないや。

私は渋々真っ白い紙に書く事にした。

書く事は、

私の障害について?

私の想いについて?

わかんない。と、

いままでだったらそう考え、悩んだかもしれない。

でも今は、

私は心地よい音をたてながら、ボールペンをはしらせた。

伝えたい事は決まってる。

好きだから

好きだったら

自分の全てを知ってもらわなくちゃいけない。

そうだよね?

自分自身に問い掛けながら窓の外に目を向けると、風で木葉が揺れて、まるで、

そうだよ、大丈夫。

と私を励ましてくれているような、そんな気がした。