その王太子、トーマ・ハルディオもまた、懸命に働く彼女の姿を見て惹かれていた。


男爵令嬢と王太子なんて、身分が違いすぎて結婚なんて有り得ないとわたくしは知っている。

なのに、それが有り得てしまうのだということもリオの記憶が知っている。


侯爵令嬢であり、トーマの婚約者で国内では王妃様を除くと一番高い地位に居るレティシア。

だけど、彼女は悪役令嬢だ。


サラがトーマを好きである事に気づき、トーマもサラに惹かれているということを知ったレティシアは、大好きなトーマを取られたくなくてサラをいじめてしまう。


わざと足を出して転ばせたり……、お茶会でサラにだけお菓子を少なくしたり……、トーマとふたりきりになっているのを見て癇癪を起こしたり……。


そのせいで、トーマは更に離れて行ってしまう。

レティシアには、それも許せなくて――。


だけど、18歳の誕生日パーティー。