悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!



パーティー開始のダンスは終わった。この後はついに断罪される?


今日は王宮開催で国王様も居るため、この後お言葉があるはずだ。きっとそこで……。



「レティシア?」



考え込んでいたわたくしは、まだダンスのポーズを取ったままだった。

それを不思議に思ったトーマ様に声をかけられる。



「あ、申し訳ありません……なんでもないですわ」



背中にまわした手を離し、トーマ様と一緒に一礼をする。

そして、拍手がなり終わった時、トーマ様に手を取られ、エスコートされながら国王様の前に向かった。


この後言われる言葉が頭の中を過ぎって、分かっていても緊張してしまう。


国王様と王妃様のいる祭壇の手前でトーマ様の手を離し、カーテシーをした。トーマ様も横で、ボウ・アンド・スクレープをしている。



「頭をあげよ」



国王様の言葉を聞いて、わたくしとトーマ様は揃って前を向く。


自然な流れだけど、あれ?わたくしは頭をあげることも許されなかったような……?