この7年間の準備があと少しで……。明後日には国を飛びだして冒険者になることができる。


トーマ様の事が好きだからこそ、ふたりには幸せになって欲しい。だから、サラ様とのことも陰ながら祝福しようと思う。


不安がないと言えば嘘になるけれど、楽しみでもある未来を考えていたら、自然とわたくしの口元には笑みがこぼれていた。



「ふふっ……レティは明後日がそんなに楽しみなの?」



いつの間にか見られていたらしい。



「……そうですね。楽しみです」



この日が来なければと思ったこともある。

でも、神様でもないわたくしにはどうすることも出来ないのでしょうがない。

リオの記憶の物語では断罪後の話はなかったから、そこからは好きに過ごすことが出来るはずなのだ。



「そっか。じゃあ気合を入れて準備しないとね」



そう言って、トーマ様は立ち上がった。


そして、見上げるわたくしの頭の上に手を乗せて、愛おしそうに髪を撫でた。