そして18歳の誕生日パーティーで婚約破棄と国外追放。
記憶の中の本の登場人物が、この世界に実在している人と同じ名前なので、たぶんこれは本当に起こってしまうことなのだろう。
侯爵令嬢としての教育を受けてきたわたくしは、全ての貴族の名前を覚えている。
その中でも同年代の方ともなれば、どんなに格下の家の方でもだ。
男爵令嬢にサラ・アルテニー様がいらっしゃることも知っている。
それにわたくしの婚約者はトーマ・ハルディオ様だ。
ここまで合っていたら、リオの記憶を信じるしかないだろう。
わたくしが断罪されるまであと8年――。
結末が決まった未来なんて、神でもないかぎり、どうすることも出来ない。幸いなのは、死刑ではなかったということだろう。
それならストーリーを変えようと、出来もしない悪あがきをするよりは、国外追放された後どうしたらいいかを考えた方が現実的だ。
正直、トーマ様の事は好きだ。



