悪役令嬢ですが、なぜか婚約者に溺愛されていて断罪されません!



楽しくなるはずの誕生日パーティー。



「何か弁明は?」


「わたくしは……悪いことはしていませんわ。全てそちらのサラ様が悪いのです!」



サラ様がわたくしのトーマ様を取るから……。

だけど、わたくしの言葉は周囲を余計に敵にした。



「まぁ、なんてこと……自分の行いを人のせいにするなんて」


「いくら侯爵家でも、許されるはずありませんわね」



わざと聞こえるように言ってくるどこかのご婦人たち。


だれも……わたくしの味方はいらっしゃらないのね。

その事実に落胆したわたくしは、近寄ってきた騎士達に抵抗することも無く捕まる。



「トーマ様、わたくしはずっとお慕いしておりましたわ……」



最後にそう呟いて、促されるがままに会場から退出した。

こうして、主役のはずのわたくしは、愛する人から見放され、断罪されたのだった――。



そう……、このリオの記憶通りだと、わたくしレティシア・ウィルドは悪役令嬢ということになる。