ユタの頬を涙が伝ったので、私は焦ってしまう。

「え…嫌だったの?」

恐る恐る尋ねると、力一杯抱き締められて、ユタはそのまま男泣きしている。

「俺…いつか、こんな日が来ることを夢見てたんだよ?社長なんかじゃない、ごく平凡なサラリーマンになって、ミーナと結婚して子供を授かるなんて、何処にでもありそうな夢だけど…。諦めなくてよかった…!」

「もう…パパになるんだから、しっかりしてよ?」

そう言いながらも、ここまで喜んでくれたことが、私だってとても嬉しい。

「ミーナ…ありがとう。俺にこんな幸せをくれて」

「こちらこそ。幸せよ、心の底から…」

子供が出来てから、ユタはますます私を大事にしてくれた。

妊娠は病気じゃないんだから、過保護だよ!と言っても聞かない。

この人は、間違いなくいい夫、いい父親になる。

そう確信した。