「農家の事まで知ってるの?」
創太郎が大げさに目を見開く。
「勿論だよ!
俺が初めて珈琲の旨さに感動したのは、昔ある恩人に奢ってもらった珈琲でさ。
町のハズレにある古くて小さい、爺さん一人でやってる老舗の喫茶店だったよ。
喫茶店だろうがファミレスだろうが、たいしてコーヒーの味なんか気にしてこなかったけど…。
感動したのよ。ほんとに。衝撃だった。」
目を少し細めて、昔を懐かしむみたいな顔をする叔父は、なんだか年相応な落ち着きがあるように見えた。
今日はこの"万年小学生"みたいな人の見たことない顔をよく見る日だ。
相槌も打たず話に聞き入る。
天性の人を引きつける何かを持ち合わせた人なのだ。
「店主の爺さんに、このコーヒーはなんだ!?って聞いたら、インドネシアのスマトラ産だって言うから、タイから帰ってきたばっかだったけど、その場にいた恩人に借金して、すぐにスマトラに行ったんだ」
「え…それは恩人の方も店主のおじいさんもびっくりだね…」
その恩人の方に少し同情した
「実際にスマトラの現地の人に訪ねながら色んな珈琲農家に行ってさ、住み込みで栽培と収穫を手伝わせてもらって、農家の家族の明るさとか、楽しさとか、苦労とか、理不尽な取引だとか、色んな事沢山見たけどな、
まぁそういう経験とかひっくるめて、あぁ俺、珈琲屋やりてーなーとおもってさ。
3年前やっとここをオープンしたんだよ」
こんなにまともな理由があったとは、全く新しい情報だ。
「そうちゃんがカフェ始めた時、どっかで突然珈琲に目覚めて起業した、としか聞いてなかったから…
こんなにいい話がその裏にあったなんて、正直…凄くびっくり」
佳乃のタレ目だがすっきりした涼やかな二重瞼は大きく開かれて、ちょっとした衝撃にそのまま表情がしばらく固まった。
「お前、 それははしょり過ぎだろう」
仕方がない。
情報源は、あの母である。
創太郎が大げさに目を見開く。
「勿論だよ!
俺が初めて珈琲の旨さに感動したのは、昔ある恩人に奢ってもらった珈琲でさ。
町のハズレにある古くて小さい、爺さん一人でやってる老舗の喫茶店だったよ。
喫茶店だろうがファミレスだろうが、たいしてコーヒーの味なんか気にしてこなかったけど…。
感動したのよ。ほんとに。衝撃だった。」
目を少し細めて、昔を懐かしむみたいな顔をする叔父は、なんだか年相応な落ち着きがあるように見えた。
今日はこの"万年小学生"みたいな人の見たことない顔をよく見る日だ。
相槌も打たず話に聞き入る。
天性の人を引きつける何かを持ち合わせた人なのだ。
「店主の爺さんに、このコーヒーはなんだ!?って聞いたら、インドネシアのスマトラ産だって言うから、タイから帰ってきたばっかだったけど、その場にいた恩人に借金して、すぐにスマトラに行ったんだ」
「え…それは恩人の方も店主のおじいさんもびっくりだね…」
その恩人の方に少し同情した
「実際にスマトラの現地の人に訪ねながら色んな珈琲農家に行ってさ、住み込みで栽培と収穫を手伝わせてもらって、農家の家族の明るさとか、楽しさとか、苦労とか、理不尽な取引だとか、色んな事沢山見たけどな、
まぁそういう経験とかひっくるめて、あぁ俺、珈琲屋やりてーなーとおもってさ。
3年前やっとここをオープンしたんだよ」
こんなにまともな理由があったとは、全く新しい情報だ。
「そうちゃんがカフェ始めた時、どっかで突然珈琲に目覚めて起業した、としか聞いてなかったから…
こんなにいい話がその裏にあったなんて、正直…凄くびっくり」
佳乃のタレ目だがすっきりした涼やかな二重瞼は大きく開かれて、ちょっとした衝撃にそのまま表情がしばらく固まった。
「お前、 それははしょり過ぎだろう」
仕方がない。
情報源は、あの母である。
