私はしばらく、ぼ〜っとしていた。

気づけば、お昼休みになっていた。

「紗凪〜!お弁当一緒に食べよう!」

「もちろん!」

ご飯を食べながら、結愛ちゃんとちょっとしたことを話して、笑う。

でも、私の目は瞬くんを捕まえて逃さなかった。

そうすると、瞬くんのことがよく分かってきた。

小さな、小さな優しさが溢れ出ていたのだ。

例えば、教室に落ちてたゴミなんか、誰も見ていなかった。

でも、瞬くんは違った。

なにも言わず、嫌な顔せずに、ゴミを拾いゴミ箱へと運んでいった。

私は、そんな瞬くんに、心がひかれた。

でも、自分ではそんなこと、気づいていなかったんだ。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。

結愛ちゃんは私の席から離れ、手を降って結愛ちゃんの席へと戻っていった。