恵は言葉が出なかった。

私はこれから何を信じてどうして生きていけばいいのか。
涼の最低な言動と行動はきっと一生許すことが出来ない。
ただ、離婚という道を選ぶ事は簡単なようで難しい。
鈴と産まれたばかりの愛を抱えて生活していく気力と勇気が、今の恵には無かった。


 それからしばらくマンションは静まり返っていた。


 嵐が去った後の静けさのように。