誰しもが固唾を飲んで見守り、静まり返っていたホールが一転してざわめきに満ちる。
「先の武力抗争で私を庇ってひどいやけどを顔に負ってしまったのだ。彼の名誉の為にもこのような人前で、深い傷を負った素顔を暴くのは遠慮していただきたい。その身分についてはこちらで保証出来るものであるし、追って正式な書面を公爵の下へ届けさせよう」
「なるほど。いかようにも誤魔化しが利くことですね」
その程度の返答では何の嫌疑も晴らすには至らない。スタンレー公爵が不満を持っているのは誰の目にも明らかだった。そのうえで挑発をも帯びた言葉に、それまで成り行きを静観していたレミリアが怒りをまとわせて柳眉を吊り上げた。
「私の婚約者を愚弄するつもりとあらば、この国の為に尽力してくれている貴公であろうと私も黙ってはおりません」
温和な王女の不興を買った公爵に周囲は様々な思惑のこもった目を向ける。確かに公爵はもう少し言葉を選ぶべきだっただろう。あれではレミリアが怒るのも当然と言えた。
一連のやりとりを眺める人々の表情は様々だ。それでも大別すると誰が王女側の人物で公爵側の人物なのか、その視線が物語っているようにも見える。
公爵はそれを知ってか知らずか、大仰に肩をすくめた。
「愚弄など滅相もございません。ですが私は母国を愛する貴族の一員として、いらぬ災いを呼び込む恐れのある要素は先んじて排除したいだけなのです」
「先の武力抗争で私を庇ってひどいやけどを顔に負ってしまったのだ。彼の名誉の為にもこのような人前で、深い傷を負った素顔を暴くのは遠慮していただきたい。その身分についてはこちらで保証出来るものであるし、追って正式な書面を公爵の下へ届けさせよう」
「なるほど。いかようにも誤魔化しが利くことですね」
その程度の返答では何の嫌疑も晴らすには至らない。スタンレー公爵が不満を持っているのは誰の目にも明らかだった。そのうえで挑発をも帯びた言葉に、それまで成り行きを静観していたレミリアが怒りをまとわせて柳眉を吊り上げた。
「私の婚約者を愚弄するつもりとあらば、この国の為に尽力してくれている貴公であろうと私も黙ってはおりません」
温和な王女の不興を買った公爵に周囲は様々な思惑のこもった目を向ける。確かに公爵はもう少し言葉を選ぶべきだっただろう。あれではレミリアが怒るのも当然と言えた。
一連のやりとりを眺める人々の表情は様々だ。それでも大別すると誰が王女側の人物で公爵側の人物なのか、その視線が物語っているようにも見える。
公爵はそれを知ってか知らずか、大仰に肩をすくめた。
「愚弄など滅相もございません。ですが私は母国を愛する貴族の一員として、いらぬ災いを呼び込む恐れのある要素は先んじて排除したいだけなのです」
