白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

「申し訳ありませ……」

 自分の非を詫びる為ではなく、家族まで責を問われない為に謝罪の言葉を口にする。

 レミリアは首を振り、ロゼリエッタの前に膝をついた。

 優しく穢れのない王女様は、未だ涙に濡れ光る瞳で真っすぐにロゼリエッタを見つめる。だけどそれは光が影を照らし出すような無慈悲な行為に思えた。


 謝罪に自らの想いがこもってはいないことを気取られたのだろうか。

 ロゼリエッタは漠然とした罪悪感に顔を背けた。

 やっぱり会ってはいけなかった。そしてまた次の機会ではなく、永遠に関わりを断てば良かったのだ。間に入るクロードもいない今となっては、会わずに済む言い訳だっていくらでもあっただろう。

「いいえ。謝らなければいけないのは私だけよ、ロゼ。本当にごめんなさい」

 部屋に入った時と同じようにレミリアの手が頬に触れた。

 慈しむようなその仕草は、けれどロゼリエッタをますますみじめにさせる。


 クロードが愛した女性がレミリアではなく他の令嬢だったら、ロゼリエッタにも勝算はあったのだろうか。否――相手が誰であっても、クロードの心が自分にはないと分かった瞬間にロゼリエッタは醜くなってしまうのだろう。

(きっと、私はレミリア王女殿下とはもうお会いしない方がいいのだわ)