白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

 けれど一部の貴族たちにスパイ疑惑をかけられていることは事実なのだろう。推察に役に立ちそうな情報は持っていないながらも、どうしてなのか自分なりに頭の中で考えてみる。


 レミリアの婚約者のマーガスは、この国の人物ではない。隣国の王太子だ。ましてや隣国は今、王位継承問題で揺れているという。レミリアがマーガスの力になろうとするのは当然のことだ。嫌疑をかける人々も、きっとそこを重要視しているのだろう。


 でもだからと言ってレミリアが母国を裏切るとは思えない。

 裏切れば自国の後ろ盾を失う可能性は十分にあるのだ。仮に裏切り行為があかるみにされない自信があったとして、一度の騒ぎで嫌疑の目が向けられてしまっている。もしこのまま弾劾にまで発展し、王女でなくなれば自国でも隣国でも立場を悪くするだけだろう。


 そんな状態に陥る行動を――レミリアを愛するクロードがするわけがない。

「スタンレー公爵閣下も、クロード様とレミリア王女殿下を疑っていらっしゃると……?」

 公爵は答えなかった。けれどその無言こそが、多少なりとも嫌疑はかけていると語っているに等しい。

 ロゼリエッタと目を合わせ、公爵は苦笑いを浮かべてみせる。