挨拶を交わしたことでほんの少し気持ちに余裕が出たのだろうか。改めて見ると、クロードはとても綺麗な少年だった。

 髪や目の色と言った見た目も綺麗だけれど、何よりも彼の周りの空気がキラキラして見えた。

 ぼうっと見惚れながら、優しい人だといいなと思う。

「せっかくだし、君も一緒にカードゲームで遊ぶ?」

「でも」

 ロゼリエッタはレオニールとクロードの顔を交互に見やった。

 カードゲームなんて、二人でも遊べるようなシンプルで簡単なルールのものを数回遊んだことがあるだけだ。仮にルールを教えてもらったとして、ちゃんとやれる自信もない。つまらない思いをさせて、誘うんじゃなかったと後悔させてしまうだろう。

「じゃあ僕と組んで君の兄上をやっつけるとしようか」

 クロードは来客用の横に長いソファの中央から少しずれて、ロゼリエッタが座れるスペースを作った。そして、なおも躊躇うロゼリエッタに「隣で見てるだけでいいよ」と、さらに誘いの声をかける。

「二人がかりでも負ける気はしないけどね」

 レオニールもロゼリエッタが混ざりやすいよう話に乗った。

 ここまでしてもらって頑なに固辞しては、いくら優しい兄たちが相手でも失礼だろう。何よりクロードにはもう会えなくなるかもしれないと思うと、急に寂しい気持ちになった。