青みがかった緑色の目と視線が重なる。
とても綺麗な色の中に映った、ぽかんとした表情の自分の姿が何だかひどく滑稽でマチルダは咄嗟に俯いた。
(どうしよう)
何か答えなくては。
でも気持ちばかりが焦ってしまって言葉が出て来ない。
だって、目の前にいるのは。
「君、最近良くこの棚の付近で見るね。何をそんなに熱心に調べているの?」
答えられずにいると、頭上から新しい質問が降って来る。その声にマチルダの反応を咎めるような色はない。優しい雨の一滴が鼻先を濡らした時のように、自然に誘われて顔を上げた。
再び目が合った。やっぱり綺麗な色の目だ。先程と変わらず自分が映っていて、それが何だかとてもくすぐったい感情を呼び起こす。
結局返す言葉は見つけられない。すると目の前の青年が表情を崩した。柔らかな笑みに胸が高鳴る。
この気持ちは何なのだろう。
温かいのに、ひどく落ち着かない。
「もしかしていきなり話しかけたから警戒されてるかな。僕は」
「ぞ、存じ上げております」
マチルダは慌てて口を開いた。
彼を知らない人間なんて、少なくともこの国にはいないだろう。言葉を交わすのはこれが初めてだけれど、マチルダとて留学に来たその日のうちに聞いていた。
万が一言葉を交わす機会があったとして、気さくな方ではあっても失礼のないように、と。
もうすでに十分失礼な態度を取ってしまったような気がする。マチルダは自国ではそれなりの大貴族の令嬢らしく腹を括った。深く息をつき、彼の発した最初の言葉を思い出して答える。
「フューリーの理論について学んでいるので、そちらに関する書籍を探しておりました」
「ああ、それならこの本とかどうだろう。もう読んだ?」
とても綺麗な色の中に映った、ぽかんとした表情の自分の姿が何だかひどく滑稽でマチルダは咄嗟に俯いた。
(どうしよう)
何か答えなくては。
でも気持ちばかりが焦ってしまって言葉が出て来ない。
だって、目の前にいるのは。
「君、最近良くこの棚の付近で見るね。何をそんなに熱心に調べているの?」
答えられずにいると、頭上から新しい質問が降って来る。その声にマチルダの反応を咎めるような色はない。優しい雨の一滴が鼻先を濡らした時のように、自然に誘われて顔を上げた。
再び目が合った。やっぱり綺麗な色の目だ。先程と変わらず自分が映っていて、それが何だかとてもくすぐったい感情を呼び起こす。
結局返す言葉は見つけられない。すると目の前の青年が表情を崩した。柔らかな笑みに胸が高鳴る。
この気持ちは何なのだろう。
温かいのに、ひどく落ち着かない。
「もしかしていきなり話しかけたから警戒されてるかな。僕は」
「ぞ、存じ上げております」
マチルダは慌てて口を開いた。
彼を知らない人間なんて、少なくともこの国にはいないだろう。言葉を交わすのはこれが初めてだけれど、マチルダとて留学に来たその日のうちに聞いていた。
万が一言葉を交わす機会があったとして、気さくな方ではあっても失礼のないように、と。
もうすでに十分失礼な態度を取ってしまったような気がする。マチルダは自国ではそれなりの大貴族の令嬢らしく腹を括った。深く息をつき、彼の発した最初の言葉を思い出して答える。
「フューリーの理論について学んでいるので、そちらに関する書籍を探しておりました」
「ああ、それならこの本とかどうだろう。もう読んだ?」
