この夜会で気持ちが沈んでしまうことなど、最初から分かっていたことだ。
王家の主催で、王女から招待状をもらった。会場である王城のホールには王女がいる。自分の婚約者が密かな想いを寄せ続ける、美しい王女が。
「ロゼ、ここに座ろう」
そう言ってクロードが足を止めたのは、サロンの左手側の壁に沿って並べられたソファ一式のうちの一つだった。
繊細な透かし模様を入れて籐を編んだ腰の高さほどのパーテーションに区切られ、猫足の青いソファが十字に四脚置かれている。正方形のソファは、今日のロゼリエッタのようにボリュームのあるドレスを纏った貴婦人でもゆったり腰を下ろせるだけの大きさがあった。
そしてソファの真ん中には鏡面さながらに磨き抜かれた木製の丸テーブルがあり、どこも同じ配置になっているのだろう。他のパーテーションの上から見える顔は笑っているものが多く、あちこちから楽しげに談笑する声が聞こえていた。
二人が着席するなりやって来た給仕係から冷たい飲み物をもらい、肩で小さく息をつく。
「今日はいつになく人が多いようだから、疲れちゃったかな」
「かもしれません」
王家の主催で、王女から招待状をもらった。会場である王城のホールには王女がいる。自分の婚約者が密かな想いを寄せ続ける、美しい王女が。
「ロゼ、ここに座ろう」
そう言ってクロードが足を止めたのは、サロンの左手側の壁に沿って並べられたソファ一式のうちの一つだった。
繊細な透かし模様を入れて籐を編んだ腰の高さほどのパーテーションに区切られ、猫足の青いソファが十字に四脚置かれている。正方形のソファは、今日のロゼリエッタのようにボリュームのあるドレスを纏った貴婦人でもゆったり腰を下ろせるだけの大きさがあった。
そしてソファの真ん中には鏡面さながらに磨き抜かれた木製の丸テーブルがあり、どこも同じ配置になっているのだろう。他のパーテーションの上から見える顔は笑っているものが多く、あちこちから楽しげに談笑する声が聞こえていた。
二人が着席するなりやって来た給仕係から冷たい飲み物をもらい、肩で小さく息をつく。
「今日はいつになく人が多いようだから、疲れちゃったかな」
「かもしれません」
