白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

 それでも。

 クロードに守られながらもマーガスと共に戦える勇敢なレミリアがとても羨ましく、何もできない捕らわれの自分を嫌いだと思った。




 お茶を一緒に飲んだり、鍛錬の見学をしたり、お互いのことなどほとんど話さないのに心の距離は少しずつ近くなって行く度、不安と予感が胸をよぎる。

 終わりの日はそう遠くない未来のことなのだと。

「お庭が見たいです。シェイド様がご一緒の時しか見られないみたいですし」

 初めてここに連れて来られてから、してみたいと思っていた庭の散策は未だ叶わずにいた。シェイドがいなくてはだめだと言われたから、言い出せずにいたのだ。


 今日は幸いとても天気が良い。

 朝起きて窓を開けた時、風もそんなに吹いてはいなかった。

「分かりました」

 思案によるしばしの沈黙を経てシェイドが軽く頷いた。

「え……。ほ、本当によろしいのですか?」

 ロゼリエッタは驚いて確認を取った。

 まさか受けてくれるとは思わずに心臓がドキドキしている。シェイドは今度はしっかりと頷き、具体的な提案を挙げてくれた。

「ガーデンテーブルの準備を整えますから一時間後、お部屋にお迎えにあがります。昼食をそちらで一緒に摂りましょう。ただし、もし再び熱が出たようなら正直に仰って下さい。その時は僕が絵本を読んで差し上げますので」