白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

 胸がちくりと痛みはじめた。


 レミリアに仕えるようになってから、クロードは少しずつロゼリエッタと距離を置くようになったように思う。

 今日みたいに贈られたドレスを着るロゼリエッタを褒めてくれたり、エスコートをしてくれたりと、表面上の変化はない。でも、ずっとクロードを見つめ続けているから、些細な態度の変化が分かってしまう。

 そしてクロードがレミリアに向ける目が、主君へのそれとは全く違う色と熱を帯びていることにも気がついてしまったのだ。――肯定されるのが怖くて、彼の想いを確認したことはないけれど。

「でもあなたのお話自体はクロードからよく聞いているのよ」

 ロゼリエッタの心臓がどきりと跳ねた。

 クロードはどんな風にロゼリエッタのことをレミリアに話しているのだろう。


 答えを聞いてみたい。

 でも同じくらいの強さで知りたくない気持ちもあった。もし、婚約者ではなく可愛い妹のような存在だと語っていたら、縋れるものが何もなくなってしまう。


 ねえ?と同意を求めるようにクロードへ悪戯っぽい視線を向ける。

 ともすれば子供じみた仕草も大人びた容姿のレミリアがすると、とても魅惑的で様になった。

 一方のクロードはかすかに眉尻を下げた。三歳年上のクロードはいつだって頼もしくて頼りがいがあった。なのに、こんな困ったような顔は初めて見る。