白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

「新しい生活は上手くやれているのか?」

「上手く、とは」

 言葉の意味を計りかね、書面から第二の主へと視線を移す。


 ロゼリエッタとの生活のことを指してはいるのだろうが、新しい生活などという意識はまるでない。ただ便宜上、寝食を同じ屋敷内でしている。それだけだ。

 予想はしていてもまるで面白味のないシェイドの反応に、マーガスはつまらないと言わんばかりに目を(すが)めた。

「いや、その話は後でゆっくりすることにしようか。調書の内容の方が君には重要なのにすまなかったな」

「――いえ」

 後だろうがゆっくりだろうが、シェイドにとってその件について話せることは何もない。だがマーガスとしてはやはり、同じくらい気にかかる案件ではあるのだろう。最終的な判断を下したのは"クロード・グランハイム"だというのに。


 シェイドは再び書面に目を落とした。

 調書を取ったのが昨日らしい。最初に日付けとマーガスの署名が記されていた。


 ロゼリエッタがここに連れられて来て三日が経った。アイリ・サーバスが全貌を教えられていることはないにしろ、何をどこまで話すべきか本人も決めあぐねているのかもしれない。

 二枚しかない紙がそのまま情報量を表していた。

 見たところマーガス以外の人物名や具体的な名称が省かれているのは意図的で、細かな部分は直接確認しろという意味合いもあるのだろう。

「それは写しだから君が持っていて構わない。その記載内容でも良ければ、だが」

「十分です。ありがとうございます」

 一通り読み終わり、シェイドは息をつく。