白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる

 アイリがそうであったように、オードリーも柔らかな髪に苦労しながらも結ってくれる。ふわふわとして可愛らしいと褒めてくれるところも一緒だ。もっとも、主を気分良くする為の常套句ではあるのだろう。


 そうしてオードリーの後をついて歩いた先のダイニングには、すでにシェイドが着席していた。

「お目覚めになられましたか」

「はい。お待たせして申し訳ありません」

 椅子はシェイドが座っているもの以外には、その対面にしかない。給仕係が引いてくれたことからして、そこに座るしかなかった。


 ダイニングは家族全員、あるいは客人を複数交えての食事を摂る為と言うより、夫婦で静かに食事をすることを目的にしているのだろうか。屋敷そのものの広さと比べるとずいぶんと小さく、縦に長いテーブルも小ぶりなものだった。

 細やかなレースのテーブルクロスがかけられ、中央に置かれた三又の燭台も小鳥のモチーフが刻まれており可愛らしい。ささやかではあるけれど、幸せな夫婦の食事の風景が目に浮かぶようだ。


 ロゼリエッタが腰を落ち着かせると、給仕係たちがその仕事をはじめる。

 燭台を挟んで同じメニューの乗った食器を並べ、最後に鏡のように磨き抜かれたカトラリーを置いた。