判断材料は見た目しかないけれど、年齢はアイリと同じくらいだろうか。

 もちろんアイリではない彼女は、その髪や目の色、顔立ちもまるで違った。

 目の前にいるのは明るい茶色に青い目を持ち、長年仕えていることもあって年の離れた姉のように茶目っけを含んだ表情を見せる女性ではない。神秘的な印象を与える黒い髪と目で穏やかに微笑む女性だった。

「お食事の用意はできております。いつでも一階にあるダイニングにご案内致しますが、いかがなさいますか?」

 部屋に入ったオードリーはベッドサイドの燭台に立てられた蝋燭に炎を移してくれる。途端に周囲が昼間のような明るさを取り戻し、ロゼリエッタは思わず息をついた。

「あの、顔を洗って……服も着替えたいの。そのまま、眠ってしまったから」

「レディに対して気が回らず大変申し訳ありません。すぐにお湯の準備を致しますね」

 うたた寝程度とは言え寝起きの顔を晒すことも、着替えずにベッドに入ったせいでしわになっているであろう服を着たままなのも抵抗がある。躊躇(ためら)いがちに要望を伝えるとオードリーはどこかアイリに似た笑みを浮かべ、部屋の奥へと向かった。




「とても良くお似合いです、ロゼリエッタ様」

 シェイドが用意してくれていた、たくさんのワンピースのうちの一着に袖を通す。裾のレースが揺れる白いワンピースは大きすぎることはなく、身体にほどよくフィットした。