次がある。

 数時間後には果たされる約束にロゼリエッタは期待を抱いてしまった。胸の前で指を握りしめて夢ではないことの確認を取る。

「一緒に、召し上がって下さるのですか?」

「食事の席は出来るだけ一緒にします。それでは――また、後程」

 一人残されたロゼリエッタは大きく息をついた。改めて部屋の中を見回せば、確かに奥に立派なベッドが置かれている。

 それよりも手前にゆったりとしたソファーもあるけれど、そちらで眠ってしまえば体調を崩さないとも限らない。来て早々体力を失うのは得策とも思えず、騎士の言い残した言葉に甘えてベッドの中に潜り込ませてもらった。すべらかなリネンの心地良さに目を細め、額に手の甲を押し当てて天井を見つめる。


 家族もダヴィッドも、アイリもいない。

 これからどうなってしまうのだろう。どうしたら、いいのだろう。


 ロゼリエッタにできることなど知れている。ましてや、こんな状況でできることとなればさらに限られた。

 それに、ロゼリエッタが今いるのは領地ではないのだ。予定通り到着していないとあっては、みんなも心配しているに違いない。


 手紙を出すことはできるだろうか。

 後でシェイドに聞いてみよう。

 それから――。


 疲労は思っていた以上に蓄積していたらしく、ロゼリエッタの意識はほどなくして沈み込んで行った。