会うのは二週間振りだけれど、華やかな席を共にしたのは半年ほど前の話だ。ロゼリエッタの交友範囲が狭すぎるから、同じ席に二人揃って招待を受けること自体がとても少ない。それこそ王家が主催する規模の大きな夜会くらいのものだった。
すらりとした痩身に騎士の正装を纏う様は、とても凛としている。
こんな素敵な人が婚約者なのだと明るく自慢できたなら、どれほど良かっただろうか。何も知らない、何も気がついていない振りをするには苦痛が伴うようになってしまった。
「ロゼリエッタ様、足元にはお気をつけ下さいませ」
廊下の端にある階段に差し掛かったところでアイリが声をかけてくれる。
丁寧に泡立てたメレンゲのようなボリュームのスカートは足元が見えない。クロードと執事それぞれの視線を受け、ロゼリエッタは逸る気持ちと後退りする気持ちとを戦わせながらゆっくりと一段ずつ降りて行く。ようやく玄関ホールに到着した頃には、すでに心が疲弊しきっていた。
「お待たせして大変申し訳ありません、クロード様。私のお嬢様が可愛らしいあまりに準備に熱が入りすぎてしまいました」
自分のことのように誇らしげなアイリの言葉に、ロゼリエッタは居たたまれない気持ちになった。
自分でドレスを贈った以上、クロードはロゼリエッタの装いを褒める必要はある。でもそれにしたって心にもないことへの同意を強要してはクロードが気の毒だ。ロゼリエッタは俯き、胸の前で右手を軽く握り込む。
すらりとした痩身に騎士の正装を纏う様は、とても凛としている。
こんな素敵な人が婚約者なのだと明るく自慢できたなら、どれほど良かっただろうか。何も知らない、何も気がついていない振りをするには苦痛が伴うようになってしまった。
「ロゼリエッタ様、足元にはお気をつけ下さいませ」
廊下の端にある階段に差し掛かったところでアイリが声をかけてくれる。
丁寧に泡立てたメレンゲのようなボリュームのスカートは足元が見えない。クロードと執事それぞれの視線を受け、ロゼリエッタは逸る気持ちと後退りする気持ちとを戦わせながらゆっくりと一段ずつ降りて行く。ようやく玄関ホールに到着した頃には、すでに心が疲弊しきっていた。
「お待たせして大変申し訳ありません、クロード様。私のお嬢様が可愛らしいあまりに準備に熱が入りすぎてしまいました」
自分のことのように誇らしげなアイリの言葉に、ロゼリエッタは居たたまれない気持ちになった。
自分でドレスを贈った以上、クロードはロゼリエッタの装いを褒める必要はある。でもそれにしたって心にもないことへの同意を強要してはクロードが気の毒だ。ロゼリエッタは俯き、胸の前で右手を軽く握り込む。
