Tear Flowers〜Remember Me〜

その時、先ほどよりも強い風が吹いた。ブワリと風の音が大きく聞こえる。刹那、頭に違和感を感じた。

「あれ?リボンがない……」

髪につけていたピンクのリボンがなくなっていた。風に飛ばされたのかな。お気に入りのリボンだったんだけど……。

「ねえ、このリボン、君のでしょ?」

落ち込んでいると、背後からどこか恥ずかしそうに声をかけられる。振り向けば、隣街の学校の制服を着た男の子が立っていた。私より少し高めの身長で、綺麗な金髪にあたしと同じ緑の目をしている。緑の目と言っても、彼の方が色に深みがあってエメラルドみたいだ。

「あの……?」

華やかなその顔立ちに見惚れてしまっていると、男の子が戸惑ったような顔をしながら声をかけてくる。あたしは慌てて「ありがとう!」と言った。

「このリボン、お気に入りで……。だから、あなたが捕まえてくれて本当に嬉しい!ありがとうございました」

あたしは本当に嬉しくて、自然と笑顔が溢れていく。それを見た彼の頬は、赤く染まっていった。そして、その唇がゆっくりと動く。