Tear Flowers〜Remember Me〜

「次は〜、グラン高原〜。グラン高原〜」

バスの運転手さんがそう言い、あたしは迷わずに降車ボタンを押す。お金を払ってバスを降りれば、そこにはいつ見ても美しいと感じる景色が広がっている。

「今日も変わらず綺麗……」

私の目の前には、青いアイリスの花畑が広がっている。風に揺れる花たちの中に入り込むと、自分が昔映画で見た花の国のお姫様になったような気がして、一番お気に入りの場所だ。

この綺麗な花たちを見ていると、自分の中にあるモヤモヤした気持ちなどがスッキリ消えてしまう。花は人の心を癒してくれるって先生が言ってたっけ……。

アイリスの花畑を歩きながら、最近好きな歌を口ずさむ。学校にいた頃のモヤモヤがどんどん消えて、新しい心に生まれ変わっていくようなそんな気がして、あたしの顔に笑顔が生まれていく。

「ちゃんと笑えてる。よかった……」

人は笑って生きていく方がいい、そうお母さんが言っていたから、あたしは笑って好きなことを全力で楽しむことを心がけている。笑った方が人は綺麗になれるから……。