「あの、花屋の店長さんはどちらにいらっしゃいますか？」

レティシアが訊ねると、「店長はあたしですよ！キアーラ・パープルピオニーです」とふくよかな女性が笑う。その横にいる美人な女性も自己紹介をしてくれた。

「私はアンズ・ホーリー。専業主婦よ」

フィオナたちは顔を見合わせる。会いたいと思った人物に会えたのだ。運命に引き寄せられるような不思議な感覚をフィオナは覚える。

「カップル同士で花の贈り合いでもするの？」

キアーラがニコニコ笑いながら言い、「素敵ね〜。うちの主人は花なんて買ってきてくれないから」とアンズが羨ましげな顔をする。

「そういうことではなくて、お聞きしないことがーーー」

レティシアが事件のことを訊ねようとした刹那、目を見開く。その目線の先には、花屋のエプロンをつけてこちらに歩いてくる一人の男性があった。男性は、金髪にエメラルドのような緑の目をしている。

「キアーラさん、配達終わりました。お客様、いらっしゃいませ」