「レティシアやシオンさんより短くても結べるんだな。似合ってる」

レイモンドの次にフリージアが言い、その横に立っているエヴァンを見る。エヴァンはボウッとフィオナを見つめていた。

「エヴァン?」

フィオナが名前を呼ぶと、エヴァンは大袈裟なほど肩を大きく動かす。その顔はりんごのように真っ赤だ。

「フィオナ、すごく可愛い!めちゃくちゃ可愛い!今度、またアレンジしてほしいな」

「ありがとう」

エヴァンが予想以上に褒めてくれた。フィオナの胸がジンと温かくなる。これがどうしてなのか、それはまだわからない。

その時、「全員揃ってますね!」と言いながらサルビアが部屋に入ってくる。その後ろには資料を手に、何やら重苦しい表情をしたシオンがいた。

「シオンさん、何か事件ですか?」

フィオナが訊ねると、シオンは頷く。捜査会議の時間だ。全員が真剣な表情になり、それぞれの椅子に座る。

「事件は、ここから約一時間ほどの距離にある街で起きた。沼地でスカフィズムによって男性が惨殺されたんだ。……その遺体には、黒いバラの花びらが撒かれていた」