うんざりと述べたテド院長へ、ビゼンテ先生は同調するように繰り返し頷く。
「聖女クラスの教師も、ロレッタ様に傾倒している教師が多いですからね。エミリーの負担にならないように、こちらもしっかり教員を選別し教育にあたらせようと思います。早速話し合いを始めないと」
鍵をジャケットのポケットから取り出して扉へ向かったビゼンテ先生に続いてエミリーも応接室を出ようと歩き出すが、すぐに侍従長に「すみません」と呼び止められた。
「エミリー様にまだお話が残っておりますので、もう少し応接室をお借りしても?」
「えぇ構わないですよ。私は職員室におりますので、何かありましたらお声かけ下さい」
「ありがとうございます」
ビゼンテは扉の前でお辞儀をして、応接室を出て行った。
置いていかれたエミリーは、まだ話が続くのかとがっくり肩を落とし、寮の部屋に帰りたい気持ちをぐっと堪える。
侍従長に「扉の外の警備を」と言い付けられた騎士団員たちは、即座に頷いて部屋を後にした。
「俺も席を外そうか」
「いえ。テド院長はご存知ですので、この場にいてくださって結構ですよ」


