改めて、テド院長は冷ややかな視線をカルバード学長へ突き刺した。
「さて。あなた方、聖女院はどうする? 考えを変えないなら、俺は国王に聖女院上層部一新の提案をしなくちゃならないな」
「なっ!……若造のくせに生意気だ。粋がったことを後々後悔しても知らんぞ!」
一新の提案と聞いて、カルバード学長は顔を赤くし憤慨する。
「そもそもにおいて疑問の声が上がっている。聖樹による選出など本当にあり得るのか」
「三百年前にも大聖樹による聖女選出が行われたと、城に文献が残っております」
「それも怪しいところだ。先ほども言ったが、あのロレッタ様ですら起きなかったことが、この娘に起こるというのか。ただそれらしく見えただけじゃないのか」
粛々と告げた侍従長の言葉にも声を荒げて否定した学長から睨みつけられ、エミリーは体を強張らせた。
「エミリー・メイルランドはオレリアから援助を受けているそうじゃないか。今回の件、すべてオレリアによる企てなんじゃないか? 正直に言いなさい」
怒り心頭の大人を前にして体だけでなく心も萎縮するが、ここで黙ればオレリアが誤解されてしまうと、エミリーは勇気を振り絞る。


