少し遅れてエミリーの足元でくつろいでいた土兎たちもピクリと顔をあげ、オレリアとアデルも揃って顔を窓へと向ける。
アデルが剣に手をかけ身構えると同時に窓ガラスが破られ、男たちが三人室内へと入ってくる。
その中のひとりがあの刺客の男であることにアルフォンは「お前!」と驚きで目を丸くし、エミリーにオレリアとアデルは表情を厳しくさせた。
次いで玄関のドアが打ち破られる音も聞こえてきて、オレリアは呆れたように息を吐く。
「もっと上品に入ってこられないのかい」
「そんな義理はない」
刺客の男はにやりと笑って答えてから両脇のふたりへと目配せする。
それを受けて男たちがエミリーへと進み出した瞬間、アデルは素早く棚へと移動し、掴んだ魔導具の杖をオレリアに向かって放り投げた。
アデルはエミリーの目前まで迫っていた男の前へ出て、そして杖をしっかり受け取ったオレリアも雷の杖でもうひとりに攻撃を仕掛ける。
重そうな杖を難なく操り、そして見た目からは想像できないくらい機敏な動きを見せるオレリアに、仲間の男は明らかに苛立つ。
「ババアのくせに」
「見くびらないでおくれ。ロレッタより私のほうが動けるし、遥かに強いよ」


