「そうだろうよ、王子相手に尊大な態度をとっていたんだからね」
「もちろん、あの方が第二王子であることを触れ回らないようにときつく口止めしておきましたが……」
そこで口ごもって、再びアルフォンがため息を吐く。
暗い表情からあいつのことだから言うかもしれないという気持ちが滲み出ていて、エミリーもつられて気持ちが重くなる。
「特にエミリーちゃんのことをしつこく聞かれたらしいですが、どうしてあの男はこんな幼い子供のことまで気にかけていたのでしょうか」
エミリーに関してはアルフォンになにも教えていない。
せめて彼だけにはここで言っておくべきではないだろうかとエミリーは思ったがオレリアは違うようだった。
考えるように顎に手を当てた後、オレリアはアルフォンに笑いかける。
「理由はあるが、それは帰ってきてからゆっくり話すことにするよ。私はしばらく店を空ける。頼むよアルフォン」
「わかりました。お留守の間、店はしっかり守ります。お気をつけて」
アルフォンがいつもの明るさを取り戻し、自分の胸を叩きつつ力強く宣言したその時、窓の向こうで影が動いた気がして、エミリーはじっと目を凝らした。


