「オレリアにアデル、モースリーに行けばレオン様にテド院長もいるわ。私、みんながいれば頑張れる。頑張ってみせるわ!」
「決まりだね。早速エミリーは注文の品に取り掛かっておくれ。出来上がり次第こっちからモースリーへ届けに行こうじゃないか」
エミリーは「わかったわ」と大きく返事をしてカゴを取りにソファーへ戻っていく。
その後ろ姿から窓の向こうへとオレリアは視線を戻した。
「さてと。私は店に行って仕事の調整をしてこようかね。それからアルフォンにも話をして……あぁ、そうだった今日はこれから商談の予定が入っていたんだった」
そしてすっと目を細め、呟く声も低くなる。
それを不思議に思いながらエミリーはゆっくりとした足取りで窓際へと戻っていった。
「緘口令は敷いたかい?」
「はい。すぐにアルフォンがみんなに話してくれていましたから大丈夫だと思います」
アデルの返事を受け、オレリアはチッと舌打ちをした。
「ダリウスめ。あの子を見習いとして受け入れたのは、私の大きな失敗だったね」
そばにあった踏み台にのぼって窓の外を見て、すぐに門の向こうに立つダリウスの姿を見つける。


