エミリーは膝の上に置いてあったカゴを自分の傍へと移動させてソファーを降りると、オレリアへと決意の表情を向ける。
「モースリーに行くわ。私が大聖樹を回復させて、この混乱を終わらせる」
力強く響いた頼もしいひと言にオレリアはふっと笑みを浮かべた。
「格好いいじゃないか。ロレッタに成り代わる覚悟はできたようだね」
「大聖女に関しては自分で務まるのか不安で仕方がないけど、このままではいられないもの」
「エミリーがその気になったのなら私もカルバードから院長の座を奪いに行くとしよう」
自分に続くように飛び出したオレリアの決意に、エミリーは思わず目を大きくさせる。
その顔を見て、オレリアは笑みを深めた。
「なにキョトンとしているんだい。言っただろ聖女院を乗っ取ると。大聖女はね、聖女補佐と聖女院、みんなで支えるものだ。聖女院の代表として私以外に適任者がいるかい?」
心強さに胸が熱くなる。エミリーは目に涙を浮かべてパタパタと駆け出して、「オレリア!」と飛びつくように抱きついた。
「実は以前テドのやつが、エミリーを大聖女に推すから私に聖女院の院長をやれと言ってきたんだ。返事は保留にしておいたけど、エミリーがやると言うなら店主と院長を兼任するのも悪くないかと思っていたところだ」


