エミリーはオレリアの両腕を掴み涙目で叫ぶが、徐々に心は不安に飲み込まれていった。
「……でも、本当にそんなことになってしまったらどうしよう」
「だったら行くかい、モースリーに。エミリーが大聖樹を回復させれば、みんなの目を覚ますことができるかもしれないよ。もちろんロレッタとやり合う覚悟がなくちゃ、返り討ちにあうだろうけど」
オレリアにニヤリと笑いかけられたが、エミリーの顔は強張ったまま。
中途半端な軽い気持ちでモースリーに向かえない。大聖樹に近づこうとすれば、ロレッタたちも黙っていないだろう。
ロレッタのそばには自分を毒矢で殺そうとしたあの刺客の男もいる。
十六歳の自分ですら己の身を守れなかったと言うのに、子供の姿なら簡単に殺されてしまうかもしれない。
「子供の姿のままで前に出ても、お荷物にしかならないわ。ちゃんと大人の姿に戻ってから対策を練らないと」
けれど、そこで言葉はため息に変わる。
元の姿にはいつ完全に戻れるかわからない。
待っている間に、レオンがエスメラルダと結婚なんてことになれば、悔やんでも悔やみきれない。


