「その子、エミリーさんに似ているのではなく、ご本人ですね?」
疑問ではなく確認の言葉にこれは誤魔化せないなと感じながら、エミリーはレオンと、そしてフィデルの横に座っているオレリアに視線を送り、最後にフィデル副団長へと認めるように頷いた。
「実はそうなの。色々あって子供の姿になってしまって」
「王子より察しが良いじゃないか」
「気づけないくらい俺の心は病んでたんだ、放っといてくれ」
オレリアが笑うと、レオンはムッと顔をしかめて膝の上のエミリーをぎゅっと抱きしめ、フィデルが呆れ顔で理由を述べた。
「レオン様の眼差しが愛しい人を見つめるそれでしたので、嫌でも気づきます。……もしかしてオレリア様の奇術でそのような姿に?」
「奇術って、お前さん私をなんだと思っているんだい」
オレリアの舌打ちは聞き流して、フィデル副団長はソファーから立ち上がり、改まった様子でエミリーの傍へと移動する。
「エミリーさん、すみませんでした。俺がもっと団長の動きに気を配れていたら……未然に防げなかった私の責任です」
深々と頭を下げられ戸惑うも、顔を上げたフィデル副団長の頬に擦り傷があるのを見てとって、エミリーはレオンの膝の上から飛び降りる。


