「調合室にある魔石を一個もらうわね。もちろん後でお金は払うわ」
「またかい? まったく儲からないことを」
ぼやかれてエミリーは苦笑いをする。実は昨日も魔石を一個買い取っていたからだ。
そのまま土兎たちも一緒にオレリアの屋敷の中へと移動し、エミリーはレオンと一緒に調合室へ。
棚の高い場所に置いてある魔石の入った箱をレオンが取ってエミリーに渡し、「ありがとう」とエミリーが笑えばレオンも優しく笑い返す。
そしてエミリーは手際良く、魔石に浄化効果を付与した。
調合室の戸口に立ってその様子を眺めていたフィデル副団長は、三歳児が難なく光の魔力の上級魔法を難なく扱っていることにひどく驚き、そして徐々に最初から抱いていた疑念を確信へと変えていった。
居間へと場所を移してから、早速エミリーは魔法効果を付与した魔石をアデルに渡して「お揃いの首輪にして欲しい」とお願いする。
快く受け取ってもらえた後、レオンの隣に座りたくてソファーに向かうと、いつものようにレオンに捕まって、そのまま彼の膝の上へ。
向かいのソファーに座って出された紅茶を飲んでいたフィデル副団長は、ティーカップをソーサーに戻し、真剣な顔で話を切り出す。


