「こっ、子供には刺激が強すぎるわ!」
「何言ってるんだ中身は十六だろ? 俺たちは十分に大人だ」
ずばり言われて言葉に詰まると、エミリーは食べかけのサンドイッチをお皿から掴み取って、気恥ずかしさを誤魔化すようにモグモグと食べ始める。
大人の姿に戻るのが怖いような、けどちょっとだけ楽しみのような、そんなふたつの感情に翻弄されつつ、エミリーは涙目でサンドイッチを完食した。
食事を終えた後、再び手を繋いで帰ってくると、オレリア商会の店の前に荷馬車が止まっていて傍らには騎士団の制服を身に纏った男性数人の姿があった。
そのまま歩み寄ると団員たちが次々と気づき、「レオン様!」と敬礼する。
「こんなところで何をしている?」
「注文した品物を受け取りに来ました!」
先日仕上げた魔導剣のことかと理解したところで、聞き覚えのある声音が飛んできた。
「こんなところで何をしているは、こっちの台詞です」
いつの間にかフィデル副団長とオレリアが荷馬車の横に立っていた。
ちょうどアデルが二頭の馬を引き連れて屋敷の敷地内へと入って行ったため、どうやらオレリアたちも帰宅したばかりのようだった。


