エトリックスクールで仲がいいといえば、真っ先に思い浮かぶのはリタだ。
しかし、レオンは男と言っているため、エミリーはそばに誰がいただろうと記憶を掘り起こす。
他に話していたと言えばケビンくらいだが、言われるほど彼と仲が良いという認識はエミリーにはなく、腕を組んで考え込む。
「なんだその程度か、心配して損した。……でもまああっちはエミリーを意識してたけど」
ホッとしたような、しかしまだどことなく拗ねているかのような声で呟いて、レオンはエミリーの小さな手を大きな両手でそっと包み込んだ。
「あなたを心から愛している。俺ではダメか?」
ドキリと鼓動が跳ね、頬が熱くなる。嬉しくてエミリーの目に涙がじわりと浮かぶ。
「あの時はごめんなさい! まさかあなたがレオン王子だなんて思いもしなくて、先に教えてくれていたら私、……絶対に断らなかった」
勇気を持って打ち明けると、緊張していたレオンの表情がわずかに和らぎ、軽く手を握りしめながら前へと身を乗り出す。
エミリーの頬に口づけて、「続きは大人に戻ってからだな。楽しみだ」と耳元で甘く囁く。
エミリーは顔を真っ赤にさせ、頬を手で押さえて身をのけぞらせる。


