彼女たちの狙いはレオンなのは明らかで、話しかけるきっかけとして自分は利用されたのもすぐに理解し、エミリーはムッと顔を顰めてサンドイッチを咀嚼する。
「私たちユギアックに向かってる途中なの。お兄さんは……旅の途中って感じじゃないわね。この街の人?」
肩に置いた手をレオンに白けた目で見られたのも気付かぬまま、女性はゆっくりと顔を近づけ、耳元で甘ったるく囁きかけた。
「よかったら今夜、私たちが泊まってる宿の部屋に遊びに来ない?」
そこでエミリーは「なっ!」と非難めいた声をあげ、持っていたサンドイッチをお皿に戻す。
文句を言おうとしたが、女性たちにはレオンしか見えていないようで存在自体を無視されていることに、唇を引きつらせる。
レオンは肩に乗っている手を払い落として、煩わしげに女性を見上げた。
「どこかに行ってくれないか、せっかくのサンドイッチが不味くなる」
冷たくあしらってもなかなか離れていかない女性たちにため息をつき、レオンは続ける。
「それに妹じゃない、彼女は俺の恋人だ」
はっきりと言い放った瞬間、女性ふたりは「えっ」と目を大きく見開く。


