「合ってるわ! モースリーアカデミーでも薬草について詳しく学ぶのね」
「いいや、学ばないよ。あそこでは魔術と剣術ばかりやってる。俺は子供の頃に図鑑で覚えたから薬草のことは知ってるけど」
「子供の頃に? レオン様はやっぱり優秀ね」
記憶力の良さに驚くが、すぐに彼の有する知識はそれだけにとどまらないのを思い出す。
以前、エミリーがオレリアの元で学んでいた頃、国内外の都市の名所や特産物、生息している獣など、彼がオレリアと淀みなく会話していたのを目にしている。
その上、剣術も素晴らしくて、何より優しい。
「人として完璧だわ」とエミリーが褒め称えると、レオンは「完璧じゃないから家出してきたんだよ」と苦笑いする。
薬草を入れたカゴを持ったエミリーをレオンが抱き上げる。
その瞬間、お腹がぐうっと鳴ってしまい、エミリーは「ちょっとだけお腹が空いたわ」と頬を赤らめた。
「オレリアたちもいないことだし、何か食べに行こうか」
「うん!」
レオンの提案にエミリーは笑顔で頷く。抱っこされたまま屋敷に戻り、調合室にカゴをおいた後、今度は手を繋いで再び外へ。


