「俺が邪魔しているだって?」
「あぁそうだ。どう見ても邪魔をしているのはエミリーじゃない、お前がエミリーの邪魔をしてる。そこを退け!」
レオンに冷徹に言い放たれ、気迫にのまれたダリウスは反論の言葉を見失う。
口を開閉させたのち、「いつも偉そうに、なんなんだよ」とぶつぶつ呟きながら薬草庫を足早に出ていった。
その姿に肩を竦めてから、レオンはエミリーに向き直り、その美麗な顔にさっきまでの冷たさなど微塵も感じられない温かな微笑みを浮かべる。
「邪魔者はいなくなったぞ。何が必要なんだ?」
「オーラ草とグロッシュ草、シエルド草、それからフェアイズ草にメアストーン草よ」
「え、ええと」
レオンに聞かれて、先ほど確認した薬草名を諳んずると、レオンが棚からそれらを探し始める。
五つ告げたうち後の二つは珍しいものであまり知られていないため、エミリーがからかうように「わかる?」と問いかけると、「バカにするなよ」とレオンがにやりと笑った。
ほどなくして、間違えることなく手元に全ての薬草が集まってきて、エミリーは思わず目を大きくする。


