花嫁も大聖女も、謹んでお断り申し上げます!


オレリアが作ってくれた袖や丈の長さをベルトやボタンなどで調節できるようにしたワンピースを身に纏い、机の引き出しから取り出した巾着をポケットに忍ばせた後、エミリーは自分の部屋を出て階段を降りていく。

この一週間、大人の姿に戻る気配はまったくなかった。

そのため、時々エミリーは本来の自分を取り戻したあの一瞬が夢だったような気持ちになる。

しかしそう感じはしても、彼の姿を見るたび夢ではなかったと実感させられる。

静かに居間の扉を押し開けて、ソファーの背もたれに寄り掛かり眠っているレオンの姿に、いつ見ても素敵とエミリーはこっそり微笑む。

予定では二、三日でオレリア邸を離れ、隣国ユギアックに入るはずだった。

けれど彼は一週間経っても一向に旅立つ様子はなく、こうしてそばにいてくれる。

彼の眠りを妨げないように極力音を立てずに扉を閉めて、調合室に置いておいたカゴと注文書を持ってオレリア商会へ向かう。

騎士団からの注文は一昨日無事に終わり、これから今朝渡された注文書の二枚目のぶんに取り掛かるところだ。

玄関の扉を力一杯押し開けて外に出てから、注文書に視線を落として必要な薬草を確認していると、「キュウ!」と土兎の鳴き声を耳にする。